夏の特集記事
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夏
多良間島「八月踊り」(国指定重要無形文化財) 旧暦の八月 多良間村
旅行者のほとんどが知らない、でも知っている人は毎年必ず通う祭りがあります。
多良間島の「八月踊り」。国の重要無形民俗文化財に指定されている、島をあげての豊年祭です。派手な演出も観光向けの仕掛けもない、ただ島の人たちが何百年も続けてきた踊りがそこにあります。
八月踊りって、なに?
毎年旧暦の8月8日から10日の3日間に開催される、五穀豊穣を祈願した多良間村の民俗踊り・古典踊り・組踊です。「八月踊りなのになぜ9月?」と思うかもしれませんが、多良間島の伝統行事は全て旧暦で実施されているため、年によって新暦の9月上旬になったり中旬になったりします。
起源は江戸時代にさかのぼります。1600年代、首里王府が宮古・八重山に課した人頭税という重税を、苦しめられた島民が旧暦7月までに納め、翌8月に御嶽で完納の報告とお礼を述べ、翌年の豊作を祈願したことが始まりとされています。税を納め終えた安堵と喜びが、踊りになった。その感情が今も舞台に宿っています。
3日間の舞台、その構成
初日は「仲筋(なかすじ)」、2日目は「塩川(しおかわ)」という各字で行われ、3日目には「わかれ」と称してそれぞれの字で同じ演目が演じられます。
獅子舞から始まる舞台は出演者全員が顔見世行列を行う「総引き」、勇壮な棒踊りや端踊りなどの民俗踊り、狂言、組踊りと続き、島の人総出で演目が披露されます。
島の小中学生からお年寄りまで総出で踊り手をつとめ、艶やかな琉装の出演者たちが演目を披露します。高校進学で島を離れる中学3年生にとっては、地元で踊る最後の八月踊りになることも。その緊張と覚悟が舞台に滲み出て、見ているこちらまで胸が締め付けられます。
観光客でも楽しめる、ちょっとしたコツ
初日と2日目は1カ所の会場に全員が集結するため混み合います。3日目は2つの会場に分かれるので、「この演目だけはじっくり見たい」というものを決めておいて、最終日に2会場をはしごする楽しみ方がおすすめです。
「狂言座」という民俗踊りは多良間の人々の喜怒哀楽をコミカルに演じるもので、多良間方言がわからない人でも楽しむことができます。言葉がわからなくても、笑いと哀愁が伝わってくる。そういう舞台です。
宮古島からの行き方
多良間島へは宮古島が起点です。宮古空港から琉球エアコミューターが1日2往復運航していて、飛行時間は約25分。フェリーは平良港から1日1往復で、所要時間は約2時間です。
空港からの移動はお宿の送迎が基本で、タクシーはありません。宿の予約と同時に送迎についても確認しておきましょう。
島内の宿泊施設は大規模なリゾートホテルはなく、ゲストハウスや民宿がいくつかあります。八月踊りの時期は特に早めの予約が必須です。島出身者が帰省し、研究者や踊りファンも集まるこの3日間は、宿も飛行機もすぐに埋まります。
宮古島でのんびり過ごしながら、1日だけ多良間島へ渡る日帰りプランも可能ですが、できれば1泊して、島の夜を体験してほしいと思います。日が暮れてしまうと基本的にすることがなくなる、なにか少しだけタイムスリップしたような雰囲気の中で過ごす夜は、それだけで旅の記憶になります。